「行く」と「来る」の使い分け
「行く」と「来る」の使い分けは、ベトナム人には時として難しいようです。例えば、ベトナムにいる学習者から「私の夢は日本に来ることです」などと言われると、たいていの日本人は、意味は理解できても、とまどいます。「行く」と「来る」の混乱の原因にはベトナム語の影響もあるように思います。
「行く」は現在の場所から別の場所へ向かうときに使います。「来る」は何かが自分に近づくとき使います。例えば、誰かに「早くこっちに来てください」と言われたら、「はい、すぐ行きます」と答えます。自分自身のいる所から相手の所に向かうからです。「朝ごはんを食べて、学校へ行きます」は、自分のいる所から学校に向かう動作ですから、「行く」を使います。「先生は7時に教室へ来ます」は、自分のいる所(教室)に近づく動作ですから「来る」を使います。
もちろん、自分が実際にその場にいなくても、「行く」「来る」は使います。例えば、ダナン出身の人が誰かから「ご出身はどちらですか」と聞かれたとき、「ダナンです。一度遊びに来てください」などと普通は言います。実際にはハノイにいても、ダナンに住んでいるような気持ちで話しているので、「来る」を使います。「遊びに行ってください」というと、相手の人に「自分はもうダナンとは関係がない。ふるさととは思っていない」といった印象を与えると思います。
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